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乳牛のケトーシス発症を防ぐ飼養管理のコツ

酪農現場でよく耳にする「ケトーシス」は、分娩後から泌乳初期に多い代表的な周産期疾病で、乳牛の健康と生産成績を大きく左右します。近年は発症が増加傾向にあり、北海道などの生産現場でも早期発見と予防管理の重要性が高まっています。背景にあるのは、分娩と泌乳開始でエネルギー需要が急増する一方、乾物摂取量がすぐには追いつかないことで起こる「負のエネルギーバランス」です。ここでは仕組みと対策を5項目に集約して整理します。

ケトーシスとは何か

ケトーシスは、エネルギー不足を補うために体脂肪が過剰に動員され、その結果として生じるケトン体が体内に蓄積して発症する代謝性疾病です。軽度でも乳量の立ち上がりや繁殖に影響しやすく、放置すると第四胃変位など他の疾病を誘発し、損失が広がる点が問題になります。

発症メカニズム(NEFA・肝臓負担・飼料要因)

分娩後の牛は乳生産に必要なエネルギーが急に増えるため、体脂肪由来の遊離脂肪酸(NEFA)を血中へ動員します。しかし、その処理が肝臓の能力を超えると、エネルギーとして使い切れない分がケトン体として増え、ケトーシスが顕在化します。乾乳期に過肥だった牛ほど分娩後の食欲低下と削痩が大きく、NEFAが上がりやすいため要注意です。加えて、劣化サイレージなどで酪酸摂取が増えると、体内のケトン体増加を助長する場合があります。

主な症状と影響(乳量・体況・繁殖)

現場で気づきやすい変化として、乳量低下や泌乳初期の伸びの鈍さ、体の削痩、被毛の艶低下が挙げられます。食欲では配合飼料を嫌い、粗飼料を選ぶような嗜好の変化が見られることもあります。こうした状態が続くと、ピーク乳量の低下だけでなく、繁殖成績の悪化(授精が進まない、受胎が遅れる等)につながりやすく、農場全体の成績を押し下げる要因になります。

早期発見の考え方(現場検査とデータ)

早期対応の鍵は、「疑わしい牛を早く拾う」ことです。分娩直後から泌乳初期にかけては、乳量の推移、食い込み、体況(BCS)の落ち方を日々確認し、違和感があればケトン体の簡便検査(ケトンフィルム等)や血中BHB測定を活用して判断精度を上げます。さらに牛群検定や繁殖成績のデータと結びつけることで、発症しやすい牛・時期・管理パターンが見え、対策を「点」ではなく「仕組み」として回しやすくなります。

予防と対策(乾乳期からの設計が勝負)

ケトーシス予防の土台は乾乳期から始まります。乾乳期に過肥を作らず、分娩後に極端な削痩を起こさせない体況管理が最重要です。分娩直後は飼料を急に切り替えたり一気に増給したりせず、段階的に増やして採食を支えます。飼槽の混雑やストレス、サイレージ品質のばらつきは食い込み低下を招きやすいため、環境と飼料品質の整備も欠かせません。発症が疑われる場合は、糖源(プロピレングリコールやブドウ糖等)の投与を含む早期介入と同時に、原因となった給与設計・飼槽管理・飼料品質を見直し、再発を防ぐことが重要です。

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